・・・
次に目が覚めてもまだ彼の腕に包まれたままだった。

ボーっとする頭で見上げると、真島さんは既に目覚めていたようで私と目が合うと目を細めニコリと笑顔を見せた。

遮光カーテンの隙間からは明るい日差しが入って来ていて、もうとっくに夜が明けていたらしいことがわかる。

「まだごろごろしてていい」

寝起きの悪い私はお言葉に甘えて起き上がるのをやめて、黙ったまま彼の上腕に額を擦り付けて目を閉じた。

いつものことだけど、目覚めてすぐに行動が起こせない。私は起動するのにちょっと時間がかかる旧バージョンのマシンなのだ。


「ここの家具、家電、食器も全て一緒に選ぼうと思っていた。朋花、連休だろ?今日と明日で買いに行くか?指輪も選びたいし」

彼の腕枕でまどろんでいると、私の髪をゆるゆると撫でながら彼が囁いた。

え、
待って、それって。

頭が追いついていかない。
困ったように見上げれば真島さんの優しい瞳としっかり目が合う。

「昨日言っただろ。もう逃げる気も逃がす気もないから。真紀も片付いたし、俺も自分の立場を確立した。何の問題もないだろう」

問題ないの?
確かに昨夜身体を重ねたけれど。

「・・・それって一緒に住むってこと?」

「一緒に住むのは嫌か?俺は住む以上の関係になりたいと思ってるが」
真島さんの目に影が差したように見えて慌てて首を横に振った。

「まだこの展開に付いていけないだけ」
「・・・そうだよな。ごめん」

彼の手が私の頭を優しく撫でていく。