圭太のバイト先には、結構行っているかもしれない。本屋も漫画を買いに行っている。スーパーではよくお菓子を買っていて、服屋もちょっと立ち寄ることがある。公園も圭太たちと遊んだりしている…。

そう考えると、本当にドッペルゲンガーがいるんじゃないかと怖くなった。

「隼人!おはよう」

後ろから声をかけられ、俺は「ひっ!」と上ずった声を上げた。

「どうしたんだよ、そんな悲鳴上げて……。こっちがビビるだろ」

陸が驚いた顔で俺を見た。

「いや、何でもない。おはよ」

挨拶をして、俺たちは歩き出す。いつもはもっと色んなことを話すのに、今日はなぜかお互い無言だ。

周りの話し声がうるさく感じる。

「なあ……」

陸を見ると、陸は言うのを迷っているにしていた。

「何だよ」

陸は恐る恐る口を開く。

「昨日さ、『fantasìa』にいなかった?」

「はあ!?お前、俺がそんなところに行くとか思ってんのかよ!小遣い無くなるどころじゃねえぞ!」

『fantasìa』というのは、この町では有名な高級なフランス料理のレストランだ。なぜこんな町にこんな洒落たレストランがあるのか不思議だが、よく高そうなスーツなどを着た大人が店に入っていくのを見たことがある。