死ぬという単語に、俺の背すじがゾクリとした。しかし、オカルトなんて信じていないのに怖がるなんて馬鹿げている。俺は強がった。

「ふ〜ん。じゃあ、俺帰るわ。見たいアニメあるしさ」

俺の反応に、圭太も陸も冬樹もため息をつく。こうなることを予想していたらしい。

「もっと怖がらないのかよ。死ぬんだぜ」

圭太がそう言うが、俺は「どうせ見間違いとかだろ」と言って部室を後にした。



死ぬと言われたら、たしかに怖い。しかし、自分のそっくりさんを見ただけで何故死ぬのかわからない。

馬鹿らしいとも、怖いとも思う複雑な気持ちだった。

「ただいま〜」

学校のすぐそばにある住宅街の一軒家が俺の家だ。

玄関のドアを開けると、専業主婦の母さんが「あら、お帰り」と驚いた顔を見せる。

「何で驚いてんの?今日は帰り早いって言ったよ」

俺がそう言うと、母さんは「違うのよ」と言った。

「あんた、さっきスーパーでパン買ってなかった?」

「はあ?」