それでも弟を探し続けて、ついに弟の住んでいる家を見つけた。

嬉しくて胸がいっぱいだった。すぐにでも会いたいと思った。

しかし、俺は耳が聞こえない。話せない。そんな俺が押しかけたら迷惑だろう。

なので、俺のことや母のことを手紙に書いた。弟が俺のことを聞いているかはわからない。それでも会えるなら、それでよかった。

震える指でインターホンを押す。二回押した。

しばらくするとゆっくりとドアが開いて、俺とそっくりな人物が登場した。一目で弟だとわかった。

まるで鏡を見ているようで、嬉しかった。顔が緩む。

しかし次の瞬間、胸に鋭い痛みが走った。鉄の匂いがして、俺の胸から血が大量に流れていた。

最初は何が起きたのかわからなかった。しかし、弟が俺を刺したのだとわかった。でもわかった時にはもう遅い。

俺の心臓は、止まっていた。