「いや、昨日塾の帰りに店の前通ったらさ、二階の窓側の席に隼人が座っててびっくりしてさ……」

「いやいや!俺の昨日の夕飯はトンカツだ!!」

うちでは外食なんてほとんどしない。年に二、三回回転寿司やラーメンを食べに行く程度だ。

そんなケタ違いの店になんか、ご縁など今後もないだろう。ありえない。絶対にありえない。

俺のそっくりさんは、俺のできないことができるのか…?そうだとしても怖い。

今、この瞬間もドッペルゲンガーが現れるかもしれないと思うと足が前に進まなかった。

「ごめん。気分悪いから、今日は帰る」

寒気と吐き気がして、陸に早口で言うと俺は走って家に帰った。

突然帰ってきた俺を見て、母さんは驚いて何かを言ったが無視して自分の部屋に入る。

そして、俺の引きこもりが始まった。



俺が引きこもりを始めて一ヶ月。相変わらず俺のドッペルゲンガーは目撃されている。

目撃情報は家に来てくれる圭太たちが教えてくれる。