「香奈!待って!」 学校中を探し回ってたんだろう、 運動部で体力のあるはずのあきらの息はあがっていた。 私はただ何も言わず、全力で走り続けた。 走って 走って走って走って、 あきらが私を呼ぶ声が聞こえる。 でも、止まれなかった。 これだけ逃げておいて、恥ずかしくて、なんて言えなかった。 久しぶりに聞いた大好きな人の声なのに、 「・・・・!」 「はぁッ・・・はぁッ・・・」 家に入った途端、 いろんな想いを遮るように 私はドアを閉めた。