すくっと立ち上がったあたしは
「もう帰る!」
そう言って、壱星の首に巻かれたマフラーを引っ張る。
その瞬間
「ぐえっ!」と唸った壱星を気に留めずに
マフラーを巻きなおしたあたしは、くるりと振り返って言った。
「とにかく、明日は一緒に学校行かないから!」
「どうせ朝会うっての。」
「会わないように時間ずらすし!」
「あー、無理無理。お前に早起きなんて出来っこない。」
カチーン、と聞こえた頭の鐘。
でも、言ってる事が当たってるだけに
あたしは結局、何も言い返せなくて。
イライラしたまま家路に続く道を歩いていると
「おい、流璃。」
背中を追ってくる声。
「ついて来ないで!」
「そう言われても、俺ん家もこっちだし。」
あーーーっ!!!
んとにもーーーっ!!!
「お前、彼氏が欲しい訳?」
「そうよ!!!当たり前じゃん!」
あたしたち、もう高校2年生だよ!?
周りの友達なんか、みーんなファーストキス済ませちゃってるし。
そ、それに、その先だって…。
「んん、とにかくっ!」
不自然に咳払いをすると
「壱星とは、もう二人でどこも行かない!学校も一緒に行かない!」
きっぱりと言ってやった。

