流星サイダー



バタン!!!、と割れるような大きな音を立て
扉が閉まる。


何なの、何なの!?

「普通、そこまでシカトするっ!?」

勢いよく駆け上がった階段のせいで、息が切れているのも気にせず
あたしは言葉を吐き出した。


「ムカつくっっ!!!」

首に巻いていたマフラーを乱暴に剥ぎ
床に投げつける。

だけど怒りはこれっぽっちも収まらなくて。



ムカつく!
ムカつくムカつくっ!!!



ぶつけようのない苛立ちは
投げたマフラーの横に落ちていた雑誌に向かった。

イライラしながらも、ストンと座ったあたしは
おもむろに雑誌を拾い上げる。



“あなたは誰にあげる!?今年のバレンタイン!”

なんて、センスのないポップな文字が踊る雑誌。



そして、ふと思い出す
壱星の言葉。


『流璃からもらえれば、それでいい。』


あたしは雑誌を投げ
慌てて携帯を開いた。


今日は、2月10日。
バレンタインまで、あと4日。



「これだっっ!!!」