「……流璃、」
一部始終を見ていたみーちゃんが、心配そうにあたしを見つめる。
「…超意味わかんない。」
何なの?
何であたしが、あんな事言われなくちゃいけないの?
あたしが一体何したっていうの?
…マジ意味不明。
ガタガタと机を漁り、教科書、ノート、ペンケースを取り出してあたしは言った。
次の授業は移動しなくちゃいけない。
「…行こ、みーちゃん。」
「でも、」
「いいから!授業遅れちゃうし!」
ぐいっとみーちゃんを引っ張って教室を出る。
だけどモヤモヤとした感情は、次第に色を増してあたしの心を支配してゆく。
わからなかった。
どうして
こんなにも悲しいと思うのか。
こんなにも
苦しいと感じているのか
あたしにはわからなかった。
当たり前に思ってた日常。
壱星が隣に居る意味。
そんな事、ちゃんと考えた事なんてなかったから。
当たり前すぎて
気が付けなくて、だけど核心に触れるのも怖くて。
『お前と、幼なじみにならなきゃよかった。』
その言葉だけが
耳鳴りのようにずっと響いていた。

