あ、流れ星。
「あー、流れ星見えねーかなぁ。」
「今流れたけど。」
「嘘、どこに?」
あの辺、と指を差すと
隣に居るコイツは「…何もねーじゃん。」とあたしを睨みつける。
「自分がよそ見してたんじゃない。」
「俺はずっと見てたし。」
お前の目の錯覚だろ、と言われて
そこであたしは黙り込んだ。
訪れた沈黙に、ぐびぐびとサイダーを飲む隣に座るこの男。
見てるだけで寒くなったあたしは
マフラーを鼻先まで上げて、小さく溜め息を吐いた。
あたし、椎名 流璃(シイナ ルリ)
ついこの間17歳になったばかりの、高校2年生。
「くそー、流れ星に願い事があんのに。」
「何よ、願い事って。」
「サイダーを一生分下さい。」
この隣に居る、超が付く程のバカは
羽鳥 壱星(ハトリ イッセイ)、同じく高校2年の17歳。
三度の飯よりサイダーが好きで
頭の中は多分、サイダーでいっぱい。
てか、壱星自体、サイダーで構成されてんじゃないかと思う。
「バカじゃない。」
「バカとは何だ。」
ちなみに、あたしたちは
幼なじみ。

