ポン、と頭を叩かれ
我に返った時には、壱星はすでに部屋を出た後だった。
パタンと音を立て、少し遅れて閉まった扉。
あたしはそれを呆然と見つめて
魂が抜けたように座り込んでいた。
…何、今の。
一人になった部屋で
回らない思考が、徐々に起動し始める。
無意識に、指先で唇に触れてみた。
え?
あれ?
んん?
………ええ!?!?
「ファースト、キス…、」
口にしたら
突然火が噴き出るように顔が熱くなって。
「ええええええーっ!!!」
立ち上がったあたしは
わたわたと部屋をうろつき始めた。
待った、ちょっと待った!!!
え?嘘、あたし
壱星がファーストキスの相手になっちゃったの!?
ええええ!?!?
嘘でしょーーーー!?

