そんなこんなで、毎年
逆バレンタインを過ごしてきた、あたしたち。
出来れば、今年こそ!
好きな人にあげたいなー、なんて思ってるのに
現実は、思ってたよりも厳しい。
好きな人どころか、気になる人も居ません。
…そんな自分が憎たらしいです、はい。
「でも、今年は誰からも受け取らねぇよ。」
「へ?」
昔を振り返っていたあたしの耳に
壱星の低く掠れた声が届く。
ふいに横に向けた視線が、壱星の力強い眼差しに捕えられて。
「流璃からもらえれば、それでいい。」
いつの間にか肩が触れる距離にいた壱星に
思わず、ドキンと心臓が高鳴った。
「じょ、冗談やめてよ!」
「冗談なんかじゃねーし。」
「な、何なの!?一体昨日からどうし、」
離れようと立ち上がったあたしは
腕を引かれ、元の場所に戻される。
そして――――…
シン、と静まった部屋で
重なった唇が、そこだけやけに熱を帯びて
あたしの体中を駆け巡ってゆく。
「明日は、先行くなよ。」

