もともとなかった自尊心がさらにえぐられて、ぐにゃりと崩れそうだった私の体に、なにか温かなものを叩きこんでいった。体を支えるために必要な芯のようなものが体内に入り込んだような、そんな気がした。
なぜだろう。
不思議だ。
「社長の採用基準て……」
ぼそっと口にするのと同時に、正面から声をかけられた。
「気にすることないよ、前原さん」
森さんがメガネの奥の目を優しく細める。
「イモだって、調理すれば高級和食にだってフレンチにだってなれるんだからさ」
「は、はい……」
悪意のない微笑みで言われて、なんともいえない気分になった。

