社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 システム部にいる彼女とは普段ほとんど接点がないけれど、私のことを気にかけてくれているのか、仕事の合間にちょくちょく話かけに来てくれる。

 彼女の金色の髪は、落ち着いた照明に照らされても人目を引く。きっと今このテーブルには社内で一番目立つ女性と一番地味な女が並んで座っているのだろうなと思いながら、ビールのグラスを置いた。

「まだまだ全然。いまだにパソコンの操作にまごついてて……」

「えーでも、なかなか筋がいいって、内藤さんは思ってる……と思うよ」

 彼女の明るい声に、私は曖昧に笑う。

 内藤さんは基本的にポーカーフェイスだから、私がミスをしても表情が変わらない。淡々とした調子で指摘されるだけだから怒られることはないけれど、感情が読み取れないことがかえっておそろしかった。