「どう? わかった?」
笑顔を崩さない新庄さんが逆に恐ろしい。泣きそうになっている私を見て、彼女は小さく噴き出した。
「どうって言われても難しいわよね。やることが多いから、本当は一ヶ月は引継ぎに費やしたいところだもの。大変だと思うけど、ひとつずつ体当たりで覚えるしかないわ」
「急に辞めることになったんですか?」
「いいえ。前々から決まってたのよ。新しい人を雇わなきゃって募集をかけて応募も結構来たんだけど、なかなか社長のお眼鏡にかなう人がいなかったの」
「そう……なんですか?」
いっそう優しい笑みを浮かべて、新庄さんは私の背中をパンと叩いた。思いのほか強い力に、私の丸まっていた背中がぴんと伸びた。

