椅子がぎしりと音を立てる。見ると社長が元の場所に座って脚を組んでいた。 もう用は済んだというふうにパソコンモニターに見入っている端正な顔は、やっぱり私の好みのど真ん中だ。それから、指の長い大きな手も。 新庄さんに連れられて社長室を後にしながら、鼻先をかすめた匂いと至近距離に迫った顔を思い出し、胸の奥でことんと何かが転がり落ちる気配がした。