社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 あのときどん底にいた私の背を、優しく叩いてくれた大きな手。その手で、今度は私の髪を優しくすくい上げる。

「手入れは甘いが髪質は悪くなさそうだし、ちょっと整える程度でもだいぶ変わるだろ」

 そう言った口元が微かにほころんで、心臓が跳ねた。

 今、笑った……?

 次の瞬間には元の厳しい表情に戻り、社長は新庄さんに目を向けた。無言の視線が交わされ、ブランドマネージャーの彼女は小さく息をつく。

「……はいはい、わかったわよ」

 しょうがないわね、というように立ち上がると、新庄さんは微笑みながら私の背に触れた。

「それじゃ結愛ちゃん。行きましょ」