あとの人生は下降まっしぐらだろうなと思いながら鼻血が出そうな気配をこらえていると、社長が思い出したように顔を逸らし私から手を離した。
「……悪い」
少し照れたように頬を掻いて、彼は応接ソファに座っていた新庄さんを振り返る。
「さやか。向かいの眼科って休診日はいつだ?」
「ええと、明日だったかしら」
「じゃあ、今から行って処方箋貰ってこい」
窓の外を指さしながら私を振り返る社長を、ぽかんと見上げた。どんな角度から見ても完璧な顔には表情がなく、何を考えているのかよくわからない。
「コンタクトに変えろ。ついでにここのサロンにも行ってこい」

