社長の方を見られないまま、私は自宅の六畳間を思い浮かべた。隅にうずたかく積まれている服は、どれもこれも妹のものばかりだ。あれを無理に着ることはできないだろうか。伸びる!と怒られるだろうけど。
ふと見ると、社長が険しい顔をしていた。ぎょっとして、顔の前で大きく両手を振る。
「だだだ大丈夫です! ジャージでは絶対に来ませんから!」
私の言葉には答えずに目を逸らし、彼は椅子をきしませて新庄さんの方に体を向けた。
眉間にしわを寄せた不機嫌そうな表情に、背中が冷えていく。
どうしよう。社長、怒ってる……?
硬直したまま、私は自分とは別世界の住人みたいな見目麗しいふたりを見つめた。頭の中ではビコンビコンと大きな音を立てて黄色信号が明滅している。

