言いながら、新庄さんは社長室の隅に置かれていた大型のスーツケースをひっぱりだす。成人男性がふたりくらい入れそうなほど大きいそれを床に倒し、暗証番号式のロックを解除した。ぽかんとしている私に気付き、彼女はいたずらっぽく笑う。
「置き場所がなくて、社長室に置かせてもらってたのよ」
蓋が開かれると、どことなく花の香りが漂った。そしてそこには、まさしく花畑のような色とりどりの服が大量に収められていた。
小さくたたまれている素材も形も異なる服を取り出し、新庄さんが次々に応接テーブルへと並べていく。
「買ってから一度も着てないものもあるから、会社の子たちにあげようと思ったんだけど、サイズが合わないのよ。結愛ちゃんならきっとぴったりだわ。ほら、これとか」
広げられた服を見て、私は固まった。

