言葉に詰まっていると、彼女はふわりと微笑んで手にしていたワンピースを私に被せた。母親が子どもにするように、袖を通させ背中のファスナーを上げ、スーツのスカートを脱がせると、そのまま私の手を取って洗面所のドアを出る。
「ちょっと来て」
「え、あの」
昼休憩中で人がまばらなフロアを突っ切り新庄さんに連れてこられたのは、どういうわけか社長室だった。
ワンピースを着ている私を見て、デスクに座っていた社長が不思議そうな顔をしている。
分不相応な格好をしているところをよりによって社長に見られるなんて。恥ずかしくて思わず視線を下げた。
「ちょうど良かったわ。今自宅を整理してて、服を大量に処分しようと思って会社に持ってきてたの」

