社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


「おい板倉! セクハラしてる場合じゃないだろ。染みになると困るし、とにかく会社に戻ろう」

 森さんが言って私の荷物を持ってくれた。その後に続く板倉さんに引っ張られるようにして、私はうららかな公園を後にした。

「前原ちゃん、着替えなんて持ってないよね?」

「ないです……」

 エレベーターを降り会社のドアをくぐりながら、着替えどころかまともな通勤服もこれを入れて一週間分もありません、と心の中で答える。

 本当にどうしよう。泣きそうだ。

「あら、どうかしたの?」

 ばたばたと駆け込んできた私たちに気づき、新庄さんがきょとんと目をまたたいた。社内で昼食をとっていたらしく、空になったパスタのテイクアウト容器を持っている。