会場の広い通路で思わず目が引き寄せられたとき、まだ何者かわからなかった彼はいたずらっぽい笑みを見せたし、私の採用を決めてくれたときも、ほどけるように優しい笑みを見せてくれた。
あれも、ビジネススマイルだったのかな。
「だいたいさー、社長は自分の容姿の威力をわかってるんだから、無駄に社外で発揮しないでほしいわけよ」
なにかを思い出したのか、板倉さんが眉間にしわを寄せ不機嫌そうに話し始める。
「社長が笑顔を振り撒いたりするから『LANA(ラナ)』の担当が調子乗るんだよ。あいつめちゃくちゃムカつくんだけど! 社長に色目使って、そのくせシステム部には無茶な要求ばっかしてきてさぁ」
アイスコーヒーのカップをへこむくらい握りしめてぶんぶんと金色の髪を揺らす彼女の背を、森さんが「どうどう」と叩く。

