「いえ、全然」
「ふうん……そうなんだ」
「どうしてですか?」
何気なく聞いた途端、彼女は大きな目をさらに大きく開いて私を見た。見定めるような視線に、少しだけ体を引く。「うーん」と考え込むようにうなったかと思うと、板倉さんはつぶやいた。
「あの社長がいきなり採用したからさぁ。ツテとかコネとかあるのかと思って」
あの社長が?
どういう意味だろうと思いながら、首をかしげる。
「社長とは転職フェアの時に、初めて顔を合わせたので……」
「そっか。じゃあ単純に前原ちゃんが社長の好みだったのかもねー」
「え……!?」

