「私、やっていけるかな……」
両手を上げ、透明のキーボードに向かってタイピングしてみる。
私のスキルのなさに顔をしかめていた内藤さんが頭をよぎり、それからガラス越しに目が合った社長の姿が思い出された。
『よろしく、前原結愛さん』
転職フェアの会場で微笑みかけてくれた彼は、私にとって救い主も同然だ。
何十社と応募して、同じ数だけ落とされて、自分には生きている価値がないのだといじけた気持ちになっていた私の背中を、社長は優しく叩いてくれた。
君が必要だと、言ってもらえた気がした。
「やっていけるか、じゃなくて、やるしかない」

