社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 五ヶ月と少し前のあの日、まだコートを羽織るような時期に国際的なコンベンションセンターで催された転職フェア。

 そこで、私は社長と会った。

「さんざん着倒したようなリクルートスーツ姿で、これから人でも殺すのかと思うくらい殺気立ってたよな」

「……そんなふうに見えてたんですか」

 たしかに、ここで就職先を決めなきゃ後がないと、追い詰められてはいたけれど……。

「ただでさえ俺の視界に入る一般女性は少ないのに、あんな闘志むき出しだとな。思わず笑った」

 インパクトが強すぎたと言って、私を抱きしめたまま彼は思い出し笑いをするように肩を揺らす。

「……そんなに笑わなくても」

 ふて腐れながらも、社長とはじめて目が合ったときの光景が脳をよぎった。