最近の社長は容赦がない。
ふたりきりになるとスイッチが切り替わったように甘いモードに突入する。約束通り抱きしめる以外は体に触れてこないけれど、そのぶん首から上への愛撫が凄まじい。
私を捕獲したまま事務机に腰を預け、彼は後頭部に唇をつけた。それから顎を持って私を振り向かせ、キスをしてくる。
心臓はとっくに壊れていた。停止ボタンのないポンプみたいに、狂ったように響いている。
滑り込んできた舌の感触に、こぼれる吐息。
誰もいないとはいえ、オフィスでこんな……。
「だ、ダメですよ、社長」
切れ切れに言うと、彼はいっそう口づけを深くした。
背中がびりびり震えて、なにも考えられなくなっていく。頭がのぼせたみたいにくらくらする。

