新庄さんが『あなたたちの顔合わせ』なんていうから、想像してしまった。
「あ、ああ暑いですねー。やっぱりまだ夏……」
ごまかすように笑ったら、後ろから抱きしめられた。すでに慌ただしく鳴っていた心臓がより大きく弾ける。
微かに鼻をかすめる爽やかな匂いと背中に感じる体温に、胸が鳴りすぎて破裂しそうだ。
「もうそこまで暑くない」
耳もとに吐息がかかって力が抜ける。
私のお腹で腕を交差させ、彼は会社では見せることのなかった甘さを垂れ流す。
「そろそろ人肌恋しい季節じゃないか?」
耳にキスをされ、唇でなぞられる。
ぞくぞくと背筋が痺れる感覚をやり過ごすように、きつく目をつぶった。
「ま、まだまだ残暑が厳しい時季ですよっ」

