従業員フロアとガラスのついたてで仕切られただけの社長室には、L字の形になっているガラス仕様のデスクと、四人がけの応接ソファが置かれている。
長い脚を組んでぎしりと椅子を軋ませる社長の横には、無表情の内藤さんが立っていた。
整った顔で彼女を見上げて、新井社長は私に目を戻す。
「これからしばらくは、内藤の下で事務研修を受けてもらう。それと並行して、ブランド・マネージャーから具体的な業務の流れを学んでくれ」
ブランド・マネージャーという言葉に、先ほどまでフロアを案内してくれていた長身美人の顔を思い出した。
新庄さんは引継ぎという言葉を使っていたけれど、彼女自身は別の部署かどこかに異動するのだろうか。

