「これって、結婚前の……両家顔合わせの写真じゃないですか?」
写真を見下ろしながら、板倉さんがつぶやいた。
「私もお姉ちゃんの結婚のときにやりましたよ。結納の代わりにいいレストランで食事しながら、それぞれの家族を紹介して」
名取さんが「は?」と眉をひそめて社長を見やる。
「どういうことですか。新庄さんの家族と顔合わせって……」
「そうなのよ! これが私のダーリンなの」
同期ふたり組の肩を掴むようにして、新庄さんが写真を見下ろす。その整えられた指先が差した人物に、空気が静まった。
新庄さんと並んで映っているその人は、ひとことで言うと岩みたいな顔をしていた。髪を短く刈り込んで、野球少年を彷彿とさせるような坊主頭だ。目鼻立ちがくっきりした新庄さんと並ぶと、四角い輪郭が際立つ。
「えっと……ダーリン?」

