「わざわざ印刷したのか」
「だってお父さんたちにも渡したいじゃない」
社長と新庄さんのやりとりを聞きながら、何気なくめくられたページに目をやり、思わず声が漏れる。
「あ、これ」
新庄さんがいたずらっぽく笑った。
「結愛ちゃんにもあとであげるわね」
「おい、やめろ」
社長の声は聞き流して、私は改めてアルバムに目を落とした。
最初に目に入ったのは、私の愛しい人だ。いつもより面倒そうな顔で写真に納まっている社長は、いつか見たスリーピースのスーツをまとっている。その隣で新庄さんと年配の男女が微笑んでいた。
ほかの写真にも彼が映っていないかと探したけれど、一、二枚ある程度であとは知らない人たちだけだった。特に新庄さんが彼らと楽しそうに写っている写真が多く、みんな一様にかしこまった格好をしている。

