突然玄関のドアが開き、聞き覚えのある声が聞こえきた。カツカツとヒールを響かせて現れた美しい女性に、名取さんと一緒にはっとする。
「新庄さん……」
「あ、結愛ちゃんたちも残ってたのね。おつかれさま」
私たちの空気を察して、彼女は笑顔のまま首を傾げた。
「あら……なんだか、お邪魔だったかしら?」
「べつに。部外者が何の用だ?」
社長の態度がそっけなくても、新庄さんは慣れているらしくまったく動じない。にこりと嬉しそうに微笑んでバッグから紙袋を取り出した。
「写真、できたのよ。見てほしくて」
そう言って、紙袋から薄いクリアファイルを引っ張り出す。どうやら写真フォルダーらしい。

