「社長、いいところに! どう思います? 前原ちゃんがわけのわからん奴とルームシェアするって言ってるんですけど」

「な、名取さん」

 焦る私と真剣な表情の営業マンを見比べて、社長は静かに答えた。

「だから、俺だよ。前原の相手」

「……へ?」

 名取さんが子犬のようなかわいらしい顔をきょとんとさせる。その隣で板倉さんがぽかんと口を開けた。

「社長が? 前原ちゃんのルームシェアの相手?」

 言葉の意味を飲みこめないように繰り返す板倉さんを、名取さんが引き攣った顔で見下ろす。

「はは、何言ってんだよ板倉。今のはそういう意味じゃない……ですよね、社長」

「ルームシェアっていうか、同棲だな」

 平然と続けた社長を、わが社の営業マンが二度見する。