社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 社員たちが各々仕事に取り掛かる様子をぼんやり見ていたら、ぽんと肩を叩かれた。

「結愛ちゃん」

 いきなりの名前呼びに驚いて振り返ると、そこには見覚えのある美しい女性が立っていた。

 ショートカットの髪をさらりと揺らして微笑む彼女は、内藤さんとともに私の面談を担当してくれた女性だ。

「新庄さやかです。結愛ちゃんには私の後任として働いてもらうことになるから、引き継ぎするわね」

「はい、よろしくお願いします」

 前に会った時は座っていたから気づかなかったけれど、新庄さんはすらりとしていて長身だ。ヒールの高い靴を履いているせいもあるけれど、私と同じくらいあるかもしれない。