よかった。 小柳さんは展示会の夜のことを吹聴しているわけではないらしい。 よく考えたら、自分が社長からフラれたことを触れ回ることになるのだから、当然か。 「涼香のことなら心配しなくていいわ。立ち直りの早さも相当なものだから。それに新井さん、全然趣味悪くないじゃない」 ビジネススマイルを浮かべている無言の社長と私を順番に見て、木浦さんはまたいたずらっぽく微笑んだ。 「えーなんの話スかあ?」 赤ら顔の営業マンに日本酒を勧めながら、彼女は「こっちの話よ」と楽しそうに笑った。