社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 最初こそ、余った時間に何をすればいいのか悩んだけれど、今の私には目標があった。

 キャミソールの上にロング丈のTシャツを着て部屋を出る。らせん階段を下り、応接ルームに置かれた本棚からめぼしいものを数冊取り出して、センターテーブルに置いた。

 メモ帳と付箋とペンを用意して、ぱらぱらと本をめくる。それは社長が所蔵している大量の本の一部だ。

 ファッション業界のいろは本から経営、マーケティング、Webサイト関連、考え方を謳ったビジネス書まで、様々な本が置かれていて、自由に読んでいいと言われている。

 私の当面の目標は、これら棚一杯の本を読破することだ。空いた時間に何をしようと悩むこともないし仕事の勉強にもなるし、まさに一石二鳥。

 意気込んでページをめくっていたら、玄関のドアが音を立てた。仕事を終え、どことなく疲れた表情の社長が部屋に入ってくる。私に気がつくと、切れ長の目をわずかに細めた。