イソラが嬉しそうに言って、カメラに「ちょっと待っててね」とウインクして見せる。
「じゃあ前原さん、控室に」
「ダメだ」
飯田さんに連れられて移動しようとした瞬間、ギャラリーの端の方から鋭い声が飛んだ。振り向くと、社長が険しい顔で私を見ている。
一瞬だけ静まった室内に、イソラの明るい声が通った。
「あれ、どうしました?」
「すみません、今、社長ストップが入って」
名取さんが簡単に説明すると、イソラは大きな目をきょとんと瞬かせてフロアの隅に視線を向けた。こんな場面でも、固定されたカメラは彼女の動きだけを捉えて動画配信を続けている。
「あらら、なんでダメなんですか?」

