夜明け前に目覚ましを鳴らし、支度を整えて外に出てもまだ世界は眠ったまま。最近は日が長くて出かける時間には日の出を迎えているけれど、それでも太陽の光は弱い。
こんなふうに完全な朝を出勤前に見られるなんて。しかもビルに囲まれたこの場所で。
そしてなにより、時間のゆとりは心のゆとりにもつながる。
顔を洗ったり着替えたりというなんでもないことに、ひとつずつ時間をかけられることがやたらと幸せだった。
だけど、弊害がひとつ。
「さて、どうしよう」
普段通りに支度を済ませてコンビニおにぎりの朝食をとっても、まだ一時間半も時間が余っている。
「社長は……朝ごはん食べないのかな?」
彼はいつも起きてそのまま出勤しているみたいだったから、朝食を取る習慣はないかもしれない。
考えながら「失礼します」と誰にともなく断ってキッチンの冷蔵庫を開けてみる。

