スマホの時計を再度確認して、私はそろりとベッドを降りた。
ブラインドを上げて扉を開ける。ガラスで仕切られた隣の部屋はブラインドが半分まで下りているけれど、少しかがめば室内が見えてしまいそうだ。
ここに、社長が寝ている……。
品良くベッドに収まっている姿を想像して、胸が高まった。
見たい。ものすごく。
でも勝手に寝室に入るなんて、居候の身として超えてはいけない一線だ。
葛藤に苛まれながら、猛獣の檻の前を通るようにそろりと移動し、音を立てないようにらせん階段を下りた。
応接間のカーテンを開くと都心のビルがくっきりと光に照らされていて、私はしばし言葉を失った。
私の朝はいつも薄暗い時間から始まっていた。

