これは布団じゃない。
いつもより足場が不安定なこの場所は、畳に直に敷いた布団ではなくてフカフカしたベッドの上だ。
「おや……?」
しばらくの思考停止ののち、記憶がよみがえってきた。
そうだ。一昨日の土曜日に物置部屋を一通り片付け、昨日の日曜日にひとまず身の回りのものだけを持って社長の家にやってきたのだ。
実家から送った残りの荷物は、今週中に宅配便で届くことになっている。
改めて部屋の中を見回した。まだ片付けきれていないハンガーラックや段ボールが隅に積み重なっているけれど、六畳を妹とふたりで使っていたことを考えれば、十分に広い。
「出社時間まであと二時間もあるなんて……信じられない」

