「物置にしてた隣の部屋があるじゃないですか。あそこを片づけていいですか? ベッドだけ移動させてもらって、あの部屋を借りますから。ガラスの仕切りもブラインド下ろせば目隠しになりますし」
「……あのな」
「だって申し訳ないですよ。今まで社長が使ってた部屋なのに、追い出すみたいになっちゃって。すぐにルームシェア先を探しますし、決まるまで借りられれば十分なので」
ガッツポーズを作るようにして腕を掲げて見せると、社長は疲れたように盛大なため息を落とした。
「……知らないぞ、本当に」
つぶやかれた言葉は、私に理解する暇を与えずに社長室の絨毯へと落ちていった。

