「今朝の話だけどな、やっぱりお前、この上に住め」
「え……?」
私の視線を受け止める顔には、仕事中に見せる厳しい表情が戻っている。プラスチックのフォークをくるくる回しながら、彼は座り心地のよさそうな椅子に深くもたれた。
「俺は自分のマンションに戻るから心配しなくていい。期限は特に設けないが、ひとり暮らしを始めるまでの準備期間とでも考えればいいだろ」
「本気だったんですか……?」
「普通に考えて、お前の通勤距離は尋常じゃない。もっと早く提案するべきだった」
社員の暮らしやすさを考えるのも俺の仕事だ、とつぶやいて、社長はパソコン画面に目を戻す。
長い脚を組んだ彼は、パスタの紙容器を抱えて昼食を取っている姿ですら麗しい。

