「意味がわかりません」
私が唇を尖らせると、社長は気まずそうに顔を逸らした。
「その唇は、男を誘う」
「……へ?」
「とにかく、もっと抑えた色のヤツにしろ。今度代わりを用意しとくから」
吐き捨てると、話は終わりだというようにパスタ容器にフォークを突っ込んだ。
なんなのだろう、本当に。
いつも理路整然と仕事の説明をするのに、今の話はまったく要領を得ない。
「意味がわからない……」
社長室のソファに荷物を置き、積みあがったファイルを棚に戻し始める。するとパスタを食べながらパソコンでニュースを見ていた社長が思い出したように振り向いた。

