「もしかして、酔ってます?」
「……ああ」
素直に返答する社長を見て不思議に思った。
飲み会での様子から察するに、わが社のトップはお酒に弱いわけではない。そこまで考えてからはっとする。
そういえば、社長は疲れているのだ。私もだけれど、この一週間は特に外出ばかりだったから、通常時に比べて肉体的な疲労も蓄積しているはずだ。
「社長、もうお休みになってください。私のことは放っておいていいですから。下のソファで勝手に寝ますし」
「ふざけんな。女をソファで寝かせられるか。ベッドは二台あるんだから、お前も使えばいいだろ」
いつもよりゆったりした口調なのに、いつも通りのはっきりした物言いで、つい笑ってしまう。

