脳がアルコールに浸されたせいだろうか。社長が何を言っているのか理解できない。威圧感の薄れた端正な顔をじっと見返す。
「住む……とは」
「ルームシェアだよ。俺と」
「……はあ」
ますます意味がわからなかった。いや、言っている内容はわかったけれど、なんで社長がそんなことを提案するのだろう。
ただの社員に、社長が使っている部屋を貸すなんて……普通にあることなのだろうか。
私はクッションにおもいきりもたれている彼をまじまじと観察した。見てはいけない姿なんて思っていたから気づかなかったけれど、よく見ると切れ長な目のふちが微かに赤くなっている。

