社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 率直な感想が漏れてしまい、はっとして振り向く。社長は目を細めて私から視線を逸らした。

「……片づけは苦手なんだよ」

 拗ねたような口調に、胸がきゅんと鳴る。

 なに、その可愛い反応。

 社長ってば、こういう顔もするんだ……。

 三人がけのソファとはいえ、社長は体を少し斜めにしてリラックスしたように座っているから、長い脚は私のすぐ脇にある。少し膝を動かせばぶつかってしまう距離だ。

 いじけたようにソファに沈んでいる社長を見ると、無性にからかいたくなった。仕事中だったら絶対に湧かない感情が新鮮だ。

「いい部屋じゃないですか! 住み心地もよさそうだし……掃除をすれば」

「悪かったな、汚くて」