社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 どうやらこの部屋が社長のメインの生活スペースらしい。

「もともとは社員用の仮眠室だったんだけどな。最近じゃ深夜を回ることもなくなって、俺が使うくらいだ」

 ソファの脇に置かれたコンパクトな冷蔵庫から缶ビールを取り出して、社長は私を振り返る。

「飲むか?」

「あ……はい」

 冷えたビールを缶のまま渡され、ソファに座るように促された。

 柔らかな革の座面に腰を下ろしながら、私は改めて室内を見回す。サイドボードに積みあがった薄い段ボール箱に郵便物の束、ベッド脇には書類と雑誌と本で構成された塔ができている。

 きちんと整理してあった下の応接ルームとは違って、階段の上は生活感に溢れていた。

「意外と……雑然としてますね」