「俺は結愛以外の女性と付き合う気はないので。本当に申し訳ありませんが……」 頭がぐらぐらした。 社長の言葉が、おかしい。 麻酔針みたいに私の胸を刺して、視界をぼやけさせる。足に力が入らなくて崩れ落ちそうになり、腰に回った大きな手に支えられた。 「……おい、大丈夫か」 社長のつぶやきを耳にしながら、怒ったように何かを喚いて去っていく小柳さんの後ろ姿を見ていた。 頭の中がクエスションマークに埋め尽くされていって、でもそれがひどく心地よくて、そのまま意識は彼方へと飛んでいった。