「申し訳ないですが小柳さん。見てのとおり、俺はこの子に夢中なんです。誰に笑われたって、手放す気は毛頭ありませんよ」 目を見開いて呆気に取られていた彼女が、はっとしたように口を開く。 「う、うそよ、そんなダッサい子に、新井さんが夢中になるなんて」 「嘘じゃありません。結愛はこの会場のどの女性よりも輝いてる」 「はあ⁉」 小柳さんの叫びと同時に、胸の奥で何かが弾けた。 さっきの震えとはまったく違う、甘くて痺れるような感覚に全身が震える。 社長が、今……『結愛』って。『輝いてる』って……。