ころころとソファから足元に落ちたそれを、急いで拾い上げる。
改めて見ても、高級感があって見た目も可愛くて、地味な私には似合わない女子力の高いアイテムだ。でも社長がくれたものなら、それは私と彼をつなぐ大事な糸だ。
すぐに塗り直さなきゃ。
社長の私への興味を、完全に失う前に。
口紅を握りしめながらスマホをスライドさせると、当の社長からメッセージが入っていた。
【すぐに来い】
「どうかした?」
きょとんとしている私に、結城さんが隣から声をかけてくれた。
「社長がすぐに来いって……」
スマホからフロアの奥に目を向ける。さっきから頭だけは見えているけれど、小柳さんの姿は人に埋もれていて見えないし、薄暗くて距離もあるから社長の顔も確認できない。

